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HOI POI : Korean Contemporary Painters

会期:2021年11月12日(金)- 11月28日(日) 13:00-19:00

会期中の木金土日開廊

アーティスト:イ・スンチャン、イ・ミミ、オム・ユジョン、シム・ヘリン、ジュ・スラ、ジョン・フィス

venue:FINCH ARTS

企画協力:紺野優希


この度FINCH ARTSではSPACE Four One Three(ソウル/韓国)との共催展「HOI-POI:Korean Contemporary Painters」を開催いたします。

※本展はSPACE Four One Threeの「HOI POI Japanese Contemporary Painters 」と同時開催です。




 FINCH ARTSは、韓国ソウルのアートスペースSPACE Four One Threeとの交流展『HOI-POI: Japanese and Korean Contemporary Painters』を開催する。本展では、これまで紹介されてこなかった韓国の同世代のペインターの作品を日本の京都でお披露目する。ネットで多種多様な情報にアクセスできるようになった今でも、韓国ので紹介されている作品やムーブメントはなかなか把握できない現状である。このような現状に対し、今回の交流展が韓国では日本の、日本では韓国のアートシーンに触れるきっかけになることを願っている。


SPACE Four One Threeは、韓国ソウルのムンレ洞に2009年オープンした。使われていない工場を共同制作所として使いながら活動をはじめ、若手のアーティストが自律的・自生的に制作と発表を続け成長できるシステムをサポートしてきた。年間テーマを決めて自主企画などを行いながら、オンラインで閲覧可能なオープンソース形式の運営を方針として定めることで、新たなアーティストに向けてコネクションの経路を開放している。積極的に美術の生産と生産後の経路を模索するプラットーフォーム「PACK」と連携しながら、アーティストの活動を多方面に広げる試みを続けている。


今回紹介する韓国のペインターは、これまでSPACE Four One Threeと関わりのある20代〜30代のアーティストである。企画展『No Matter, Paste』(2019)や『レイテンシー』(2019、2021)、流通販売プラットフォームであるPACKなどで多くのアーティストと関わりながら、今回は6名のアーティストによる作品を紹介する。社会的な色の強い「民衆美術(민중미술)」や、もの派と比べられる「単色画(단색화)」にフォーカスが当てられていたのであれば、出展作はいずれも近年活動する日本のペインターと比べられるほど、既視感覚え親しみが湧くものばかりだ。


出展作は①イメージと環境、②イメージと物事、③イメージと肖像と、大まかに分けられる。


①イメージと環境は、イメージが形作られる生態系として捉え、抽象的なモチーフを具現化する作品を指す。イ・スンチャンはメディウムを変貌させ、立体と平面の様態を探求している。シム・ヘリンは色彩と筆遣いがキャンバスで奥行きと平面性を生み出す条件を探求している。


②イメージと物事は、材料やマチエール、触覚性を用いる作品を指す。ジュ・スラの作品は、3Dモニター越しのオブジェを見つめて、作品に具現化している。オム・ユジョンは節制された背景に風景や身近な食べ物を描き、対象を真剣に観察する。


③イメージと肖像では、様々なものを参照にし、人物を描く作品を指す。イ・ミミの作品には、アーティスト本人の関心事とアイデンティティが写し出されている。ジョン・フィスの作品も、身近な場面をアニメやアメコミ調で表現している。


上記の特徴は、韓国のSPACE Four One Threeで展示中の西太志、黒宮菜菜、西村有未、水谷昌人の作品にも当てはめられるだろう。それほどまでに、近いものが感じられるにも拘らず、両国のアーティストが紹介される機会はこれまで少なかった。


タイトルにある「HOI-POI」とは、人気アニメ「ドラゴンボール」に登場する同名のカプセルを参照にしている。互いに近く、でもどこか遠く感じられる韓国と日本は、今のアートシーンを語り合うときも、似たような距離感が漂っている。ホイポイカプセルが質量保存の法則を越えるように、本展では韓国と日本のアートシーンを語る上で存在する限界を越え、接続点になることを願っている。

(紺野優希)


○ Organized by: PACK

○ Co-organizer: Yuki Konno

○ Design: Faith Kim

○ Host: Space Four One Three & FINCH ARTS

○ Sponsor: MCST(Ministry of Culture, Sports and Tourism Republic of Korea), Korea Art Management Service, 'Mullae Art Factory' Seoul Foundation for Arts, GS SHOP(SPACE Four One Three)


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 先日終了したアートフェア「Art Collaboration Kyoto」の開催をきっかけとして、本交流展は企画されました。FINCH ARTSがコラボレーション相手としてSPACE Four One Threeにお声がけし、どうせならアートフェアにとどまらずそれぞれのスペースで日本のアーティストと韓国のアーティストの交換展をやろう、ということになったのです。本展覧会では韓国のペインター6名を紹介します。参加作家は20代から30代で表現の幅は広く、キャリアも様々、韓国のペインティングといってももちろん一括りにはできません。日本と同じようにそこには個々人の絵画に対する姿勢があるだけです。しかし粒が集まり波になるように、大きな動きとして見ることは可能かもしれません。文化的な背景、摂取しているカルチャー、住んでいる地域の商品の色、建物の素材それらも絵画からは読み取れるかもしれません。もちろんアーティストの哲学、思想もです。そうして、絵を見るという体験が私たちをとても遠くへ連れて行ってくれるのです。我々は海外への渡航が制限されていますが、作品はこのように海を越え、どこまでも行くことが出来ます。ご高覧いただけますと幸いです。(FINCH ARTS)


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イ・スンチャン《BF86》2020, 50.0×50.0cm, アクリル絵具、インクジェットプリント、バニッシュ、PET合成紙


イ・スンチャン/Lee Seungchan

1985年生まれ。2013年弘益大学絵画科卒業、2017年ソウル科学技術大学造形芸術科修士卒業。画像と出力装置、絵画の物質性を掛け合わせたアルゴリズムをもとに、ペインティングを制作している。画像と絵画、イメージと現実の関係を問い、新たな現実を生み出すことを目的としている。2015年「#000000」DimensionVariable(ソウル)、2020年「combicess」Art Space Hyeong・Shift(ソウル)を含む4つの個展のほか、2018年「No Matter, Paste」SPACE Four One Three(ソウル), 2018年「Allover」Hite Collection(ソウル)などのグループ展に参加。



イ・ミミ《iminky momo》2021, 72.8x60.7cm, Oil on panel


イ・ミミ/Lee Mimi

1993年生まれ。現在ソウル科学技術大学造形芸術科修士在籍。サブカルチャーと少女文化にみられる心をペインティングで表している。絵画の構成要素を厚めに巻いて、彫刻的ペインティングとして表現したり、キャンバス上の構成要素のポジションを変えたりなど、絵画的実験を試みている。2018年「ごめんね、うにちゃん うにちゃん、ごめんね.」SPACE Four One Three(ソウル)、2020年「125」gasamrojieul(ソウル)の個展を行い、2018年「Transcription」Dongduk Women's University(ソウル)、2019年「PACK:冒険!ダブルクロス/STATION!」Post Territory Ujeongguk、2020年「Corners 4:We Move We」Keep in touch(ソウル)、2020年「IMAGE WORLD:PART1」The Necessaries(ソウル)などのグループ展に参加。



オム・ユジョン《Twisted Bread》,2016, 24.0x35.0cm, Oil on canvas


オム・ユジョン/EOM YU JEONG

身の回りで起こる様々な視覚経験をもとに、ドローイングやペインティング、アニメーションの制作を行っている。出展作の<Baked Shape>は、これまで3年間、ペインティング・スタディの一環として制作を続けてきたもの。パンの様々な形を観察し、シリーズとして記録した作品である。



シム・ヘリン《Breeze #01》, 2019, 60.5x60.5cm, Oil on canvas


シム・ヘリン/Shim Hyelin

:1985年生まれ。弘益大学絵画科卒業。抽象美術の形式を用い、見方の自律性を生み出すイメージの構造を模索している。これまでSPACE Four One Three(2013年)、Nowhere(2016年)、Gallery Chosun(2017年)にて個展を開催し、「No Matter, Paste」Tri-bowl(インチョン)、2019年「新生空間展:2010年以降の新しい韓国美術」カオス*ラウンジ五反田アトリエ(東京)などのグループ展に参加。アートスペース「SPACE Four One Three」、およびアートプラットフォーム「PACK」の運営も担当している。



ジュ・スラ《Phosphopilite PRAY, FOR ME! Blend S(SE)#05》, 2020, 40.0x40.0x2.0cm, Acrylic on paper


ジュ・スラ/JOO SLA

:1988年生まれ。2013年中央大学西洋画学科卒業。2019年ソウル科学技術大学造形芸術科在籍。2019年の個展「REVERSE EDGE」space illi 1& 2(ソウル)ほか、2017年「PRESET」ONEROOM(ソウル)、2018年「FORM OVER:RED DATA」DimensionVariable(ソウル)、2019年「韓国からの8人」パープルームギャラリー(相模原)、2020年「cut!cut!cut!」seetangraum(済州島)、2020年「情報の空に架空の影が映る」Artspace3(ソウル)などのグループ展に参加。アニメーションと漫画のワンシーンを様々なメディウムで表す過程で、デジタルにおける平面として物質を見つめ、作品として展開している。



ジョン・フィス《Injured Painting》, 2020, 60.0x60.0cm, Acrylic on canvas


ジョン・フィス/Jeon Heesu

:1986年生まれ。School of the Art Institute of Chicago MFA Painting and Drawing 卒業。漫画とペインティングとの合間で漂流しながら、個人史をしっかり残せるように過ごしている。2020年の個展「EYE I EYE」SPACE Four One Three(ソウル)、2020年「COLOR & BLACK」ART-L Gallery(上海)を開催し、2019年「WE GO FAST」Left field Gallery(カリフォルニア)などのグループ展に参加。



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SPACE Four One Three(ソウル/韓国)


SPACE Four One Threeは、韓国ソウルのムンレ洞に2009年オープンした。使われていない工場を共同制作所として使いながら活動をはじめ、若手のアーティストが自律的・自生的に制作と発表を続け成長できるシステムをサポートしてきた。年間テーマを決めて自主企画などを行いながら、オンラインで閲覧可能なオープンソース形式の運営を方針として定めることで、新たなアーティストに向けてコネクションの経路を開放している。積極的に美術の生産と生産後の経路を模索するプラットーフォーム「PACK」と連携しながら、アーティストの活動を多方面に広げる試みを続けている

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