©︎Yuki Moriya
守屋友樹「潮騒の部屋」
会期|2024年 4月4日(木)- 4月21日(日)※会期中の水曜休廊
開場時間|10:00-17:00
会場|半兵衛麸五条ビル2F ホールKeiryu(〒605-0901 京都市東山区朱雀町421−2)
主催|FINCH ARTS
助成|アーツサポート関西
Artist|守屋友樹
○トークイベント
「鳥たちの計画と無計画」
日時|4月20日(土)14:00-15:00
会場|半兵衛麸五条ビル2F ホールKeiryu
登壇|守屋友樹、彦坂敏昭、平田剛志
本展作家の守屋による出展作品の滞在制作に関する活動報告および、美術作家の彦坂敏昭さんと批評家の平田剛志さんを招いた鼎談を行います。フィールドワークやリサーチから作品アイデアに至るまでの計画と無計画について。
入場無料・予約不要(定員20名程度)
=
2018年冬、私は北海道東沿岸部に点在する戦争遺跡のトーチカ内部にいた。トーチカは第二次世界大戦末期、アメリカ軍の侵攻を想定し急造した建造物である。終戦まで造られ続けたが、実際に使われることはなかった。
建物には銃眼と呼ばれる敵を撃つために設けられた小さな窓がある。そこにいた人々は、窓からの景色をどのような眼差しで見ていたのだろうか。あるいは、建設作業場までの道すがら海の先をどのように見ていたのだろうか。次第に私は風景と敵に対する眼差しについて考えるようになった。
終戦から78年が経ち、当時を知る人々もいなくなりつつある。トーチカに関する資料はごく僅かで、語り部もほとんどいない。それでも建物内部に関する記憶や道中に見た風景に関する話を探してみたが、記録として残されていなかった。それは、共有されるべき情報としてアーカイブから外された言葉や記憶であることを示している。
記録されなかった言葉や記憶をどのようにして想像することが出来るのか。恐らく不変的な存在を媒介に想像を試みることになるだろう。潮風が吹き込む窓であったり、遠くから聞こえる波の音など、何気なく見聞きするものと共有されている記録が結びつくことで、言葉にできない手触りとしての記憶が想起される。
私は、風景と敵に対する眼差しを想像するためにトーチカをピンホール・ルームにし、小さな窓から見える風景を像としてフィルムとノートに写した。
=
守屋友樹|Yuki Moriya
美術作家/写真家
2010年日本大学芸術学部写真学科卒業。写真の古典技法や古写真に関する歴史を学び、実地調査で過去と現在を重ね見る体験をする。かつてあった景色や物、出来事、時間などを想像する手立てとして不在や喪失をテーマに制作を行っている。主な展覧会に2022年『すべとしるべ2022 #01「蛇が歩く音」』Gallery PARC、2020年「影を刺す光-三嶽伊紗+ 守屋友樹」京都芸術センター、2019年「きりとりめでると未然の墓標(あるいはねこ動画の時代)2019-2020」パープルームギャラリーなど。
撮影日:2023年11月27日, 撮影場所:友知トーチカA ©️Yuki Moriya
©️Yuya Miki
Comments